太陽と毒ぐも/角田光代

太陽と毒ぐも/角田光代読みました。短編集。その中の一遍、『未来』の話。
浮気をする、嘘をつく、へらへらしてなんかムカつく、だからミネオなんかと別れなよと友達から言われるともちゃん。
実際、ほんのたまにだが、アパートに帰るとき、ミネオ死んでいてくれないかな、と思うこともある。

今自分が何を持っていて何を持っていないかよくわからずにただそこにいる。

そして

極力好きなことを寄せ集める日々をただだらだらと送っている。

きっとそんな風に生きてきたミネオだが、たぶん私も同じだ。
だからともちゃんは会社に嘘の電話をして休んだミネオと遊びに行ったときふと思った。

大好きながら大嫌いなこの男と結婚したとしても、未来はかわらずぼわぼわした得体の知れない場所だろう。別荘も車もないに違いない。

そして

ただミネオが思っていることは私と大差ないだろう。そのことが私をひどく安心させ、気遣いの気持ちを解いたのだった。

きっとそういうことなのかもしれない。
結婚すれば毎日は楽しいの、白馬の王子様が迎えに来てくれるの、ではない、もっと現実な何か。
ともちゃんはミネオと結婚するだろう。
そしてともちゃんは、不服に思いながら、そしてたくさん笑って、幸せに過ごすんじゃないのだろうか。